脆弱性ブローカーについて

概要

脆弱性報告について調べていたら脆弱性ブローカーという存在について知りました。 その後、いろいろ調べたまとめです。

脆弱性ブローカーとは

脆弱性ブローカーとは、脆弱性情報を買い取りそれを政府機関や研究機関や金融機関といった組織に転売する業者のこと。 バグバウンティプログラムやZDIといった研究コミュニティと違い、情報は公になること無く転売される。 転売された情報は法執行機関が操作に使う他、諜報機関が活動するために使われると考えられている。 転売された情報がサイバー戦争で活用されることから『現代の死の商人』と呼ばれる。 売買される情報の価値について、以前まで非公開であることが多かったが、2015年11月18日『Zerodium』と呼ばれる企業が価格表を公開し、それまで脆弱性ブローカーの存在を知らなかった人も含めて話題になった。

Zerodium

Zerodiumはアメリカの脆弱性ブローカー。 創業者であるChaouki Bekrar氏は、フランスのセキュリティ企業である『Vupen Security』のCEOとしても有名。 Vupen Securityは脆弱性情報の転売を行う傍ら、独自に脆弱性を発見しそれらを各国政府機関へ提供していた企業。 しかしHacking Teamの情報流失事件の際、似たようなことをやっているVupen Securityも批判の対象になり活動しにくくなったことからZerodiumを起ち上げたとされている。 さて、前述の通り脆弱性情報の価格表を公開し話題になったZerodiumだが、ここで2016年12月3日現在の価格表を見てみる。 f:id:famasoon:20161202225616p:plain 欲しがっている情報は任意コード実行やサンドボックスのエスケープやバイパス、権限昇格を狙うものが多い。 いかにも法執行機関や諜報機関が欲しがりそうな情報だ。 脆弱性を報告する時はZerodiumと独占契約を結ばなければならないようだ。 FAQでは受け付ける脆弱性の種類についても書かれていて、これを見る限り部分的な脆弱性情報でも悪用可能であれば買い取ってくれるそう。 最高額が$1,500,000で本当に驚き。

Expocod

Expocodはロシアの脆弱性ブローカー。 リンク先で見てもらえば分かる通り、ここも価格表を公開している。 Zerodiumの価格と比較すると見劣りしますが、それでもすごい額。

EXODUS

EXODUSはアメリカのブローカー。 脆弱性情報の提供はここで受け付けている。 EXODUSは上記2つのブローカーと同じく0dayの脆弱性情報を買い取っているが、その他にもN-dayの情報も買い取っている。 N-dayの情報とは、既に情報が公開されパッチが当てられた脆弱性のこと。 既知の脆弱性を突く攻撃も需要があるみたい。 報酬の支払いは通常の電信送金やウェスタン・ユニオン、ビットコインでの支払いに対応しているようだ。

Mitnick Security Consulting

伝説のハッカーであるケビン・ミトニック氏がブローカーサービスをやっている。 Mitnick Security Consulting 価格表は公開されていないが興味深い。

さいごに

いくつか脆弱性ブローカーについて挙げてみた。 これを読んで『現代の死の商人』とも呼ばれる彼らの動向に注目する人が増えればいいな~と思う。 ここまで挙げたもの以外にもブローカーはいると思うので、知っている方はよければ教えてください。